ハッピーエンド

ハッピーエンド

2年目の結婚記念日を無事、そして健康に迎えることが出来、我うれしく思う。

お祝いというからには「祝った!」という感覚が目に見えて欲しい。当日は平日だったので餃子の王将で4,000円分も飲み、食べた。卓の上は、ちょっとした男子の部活帰り。わたしの妹が好む「酢とラー油」だけで餃子を食べるスタイルを夫がアレンジし「酢と胡椒」で食べるもまた美味。わたしもまた苦手だった餃子をこのところ2、3個手を付けるようになり、人は変わる、としみじみ思い入りました。変化ってうれしい。

週末、夫がグルメな上司二人におすすめされた広尾のア・ニュ ルトゥルヴェ・ヴー に。当日、テーブルを担当してくれたウェイターのSさん(アラサー)が、ワインを進めてくれた運びでコロコロ育ちのマンガっ子ということが判明し(我ながら、どんな会話運びなのか)、爆発する親近感。Sさんは「ドラゴンボール」から「男塾」、そして「昭和元禄落語心中」から「へうげもの」まで手広く読んでいるご様子なので(センスいい!)、わたしは「ザ・ファブル」と「ボールルームへようこそ」、夫は「七ツ屋しのぶの宝石匣」を熱を込めて勧めた。Sさんは懸命にメモを取ってくれた。この人、きっと読むだろう。

「古屋実狂なんですよ~。」と照れながら言うので、「ゲレクシス、どう思いました?」と聞くと、「いや、マジ最高でした! ハッピーエンドでよかったです!」とさわやかに笑った。……ハッピーエンド? 店長がまたゲレクシスったから? 店長がまた正気とモウソウに会えそうだから? たまりかねて「え? あれのどこが、ハッピーエンド?」と聞くと、「ヒミズやヒメアノ~ルで、もう古屋マンガの笑いに触れられないのかな?って思ってたんですけど、ゲレクシスで明るさが戻ってきたと思って」と、答えるSさん。え? 作風が俺好みの路線に戻ってきて、俺がハッピー(エンド)ってこと!? とまさかの斬新な答えに身構えたが、「え?でも、あれ、ハッピーエンドじゃないんですか?」と今度はわたしに投げかけるので「……ううん。店長がまたバウムを焼けたからハッピーエンドですね!」わたしはとっさに答えてほほ笑んだ。

そうだそうだ。結末なんてそれこそ主観で何通りもあっていいんだ。わたし的には店長がバウム焼けてハッピー。Sさんは、ちょっとよくわからないけれど、なんかハッピー。で、みんなハッピー。さすが、ミシュラン星付きフレンチ。サービス料10%以上の楽しいマンガトーク・サービス、ありがとうございました。また行きます!(きっと)

講談社のニュースサイト「現代ビジネス」に寄稿しました。とてもたくさんの人に読んでいただけたようで、心から嬉しく思います。編集部の方に「ものすごく読まれている」とご連絡いただきました。貴重な経験させていただきました。読んでくださってありがとうございました。未読の方、よろしければどうぞ()。そして、ゲレクシス、未読の方も是非(面白いです)。