週刊新潮は只今、発売中です

週刊新潮は只今、発売中です

『週刊新潮は、今日、発売です』

父の会社ではいつもTBSラジオが流れていた。学校が終わって遊びに行くのは「大沢悠里のゆうゆうワイド」や「こども電話相談室」の時間で、その合間に流れてくるラジオCMは“村祭”のメロディーに乗せて子供の声でこう言うのです。
『週刊新潮は、今日、発売です』

そんな週刊新潮の「結婚」欄の取材を受けました。わたしが生まれる前から続く各界の著名人の慶事を扱う連載ページ「結婚」から取材依頼が来た時は「?」。だからわたし返信したんですよ、「人違いだと思います」と。
けれど新潮の記者・Iさんから「若くして大病に苦しみ、未来を悲観している人たちの希望になる【結婚】です。ぜひ」とおっしゃる。そんなありがたい言葉をかけて頂けること自体が稀有な人生のため、先週、神楽坂の新潮社で受け、取材からたった5日で発売。さすがは週刊誌。校正チェックが無かったので、微妙に事実やニュアンスの違う箇所もありますが、それもまたよし。担当のIさんも夫に電話で追加取材までして、さらには「彼女失格」の書影まで入れて下さるなど熱量高い記事に仕上げて下さいました。
こんな稀な機会の巡りにそれらを思うと気持ちが曇るという事柄は、わたしと結婚しなかったらこんな風に名前やプライベート、挙句は顔写真まで全国誌に掲載されることもなく穏やかに暮らしていただろうはずの夫のことに他ならぬ。

メディアを通じる事で、本人達の意思に反して湾曲してしまう事も多々あって、事実はわたし達だけのものだけど、今度は湾曲した「真実風のもの」に踊らされるのだから、なんて愚かなわたし達。結果的にお互いが傷つく事になったら嫌だなあ。

と逡巡していたのはわたしだけだったようで、取材依頼に夫は「受けなさいよ。面白いじゃない」と。終始こんな風なので、気の小さいわたしはいつも驚かされて、あとはもうただ感謝。ほんと変わってんな、夫。

はからずとも10月1日のピンクリボンデーにその週刊新潮は発売されました。ピンクリボン運動……参加した結果としてああいうスタイルの活動は集団行動が苦手なわたしにとってとても難しかった。けれど、わたしはわたしのやり方で。

日本を代表する週刊誌に私事を取り上げて頂いて、新定番の人前式よろしく発行部数そのまま60万人の人を前に「結婚」を誓ったような形になり、頑張らなきゃな、試されてるな、と今とても感慨深いです。「新潮」を愛読していた父がガンで死んで来年で10年。それはそのまま、わたしがガンになっての10年です。

では今宵も、羽田からベース空港に最終便で戻ります。