東京出版雑感記②
6月26日になってしまいました。発売日です。さぞさぞな心持ちでこの日を迎えるかと思っていたけれど、この日はあくまでも世の中的に記号化した「日」であり、わたしたち(担当編集さん&わたし)は山盛りのタスクに埋もれているというのが、所詮の現実。
それでも鈍いわたしにリマインダーのように働きかけてくれるのは、やはり人以外無くて同じELLEブロガーのアキナちゃんがTwitterで「どうしよう。ついに。あれ?早い?松さや香 処女作『彼女失格 恋してるだとか、ガンだとか』さや香さん、文教堂書店にて手に入れちゃいました。」とツイートしてくれたことで、一気にわたしの気持ちの潮目が変わった。
「あ、本当に本が出たんだ」
何を言ってるんだ、馬鹿者! と言われそうですが、彼女の膝元に置かれた本の写真を見て自分のフェーズがやっと世の中にピントがあったような感覚に。そこに、以前からお世話になっているノンフィクション作家の島村菜津先生から電話が入り「おめでとう。」との言葉を頂く。
「あ、“おめでとう”、なんだ」
何度となく今の今まで友人達が繰り返してくれた“おめでとう”が一気に熱をもってわたしのお腹に落ちました。そうだ、すごいことなんだ。
「ねえ、文章書くって楽しいでしょう?」
「表現しろ、って言ってるのよ、きっと」
ここ数年、とても素晴らしい女性たちに支えられてきたと言う自負心があって、それはもう、本当に素晴らしい彼女達に支えられてきたのです。誤解を恐れず書けば優秀な人ほど、惜しみなく褒めてくれ認めてくれることを知りました。
30年生きていると、裏のある人間のうわべの労いはさすがに気付いてしまう。全然思ってないのに、スタイル的に言ってるのだろうなと。いやだなあ。と思っていてもつられるようにへにょへにょと「ありがとうございます」と呼応する自分が一番嫌でした。
でもきっと、この出来事でわたしまた変われると思います。
みんなからもらった気持ちをどーんと身体で受けたら、3時間前から発熱してしまって、麻雀も半荘やりきれず抜けて帰ってきてしまいました。しばらく、そんな風に出版にかこつけて、やれ自分がどうだこうだということ綴ると思うのですが、ご容赦ください。なにぶん初めての事なんで、浮かれもしますし、凹みもします。
おやすみなさい。